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〜医師の人材紹介という仕事の魅力〜

【2】 医師人材紹介サービスの変遷

「常勤医師の紹介」は、紹介の担当者にとっては、
最も紹介者としての責任を全うできる、遣り甲斐あるジャンルです。

私自身は、中堅の医療従事者専門の紹介会社に16年勤務し、
看護師・介護士、セラピスト、薬剤師、医師の人材紹介を経験しましたが、
現在に至るまで、一番長く携わり、遣り甲斐を感じたのは医師の人材紹介です。

この回では、医師の人材紹介サービスが、社会的ニーズを背景に、
どのように変遷し今に至ったかを、私の経験のもとに、ご説明いたします。

1. インターネットの普及とともに、ゆっくりと成長した2000年前半

 私が医師の人材紹介会社に入社したのは2003年のことです。
当時がどんな世の中だったかというと、一般企業の社員採用においては、
一部の大企業を除き、終身雇用が崩壊しつつあり、一般事務職の人材派遣が周知され、
年収UPの転職をしたい、若手社員を中心に、正社員の人材紹介についても
広く認知されてきた頃です。

 その頃、医師の採用でも大きな流れの変化がありました。
北海道と東北で起こった「医師名義貸しに、大学医局が関与していた」という問題は、
札幌医科大学で2002年に発覚後、北大、旭川医大、東北大学にまで波及。
これらの大学から、派遣医師を受け入れていた複数の病院が、医師数を水増しして
診療報酬の減額を免れていた事件は、全国紙にも大きく取り上げられ、
「大学医局による医師派遣の仕組み」「医学部教授を頂点とした権力構造」が
世論から改めて問題視されるきっかけとなりました。

 私が当時入社した会社は、札幌で医師の人材紹介を始め、その後全国にサービスを
拡げたのですが、名義貸し事件で道内の医局による医師の派遣システムが
機能不全に陥ったことから、北海道の多くの病院から
「東京や大阪など医師が多くいる地域から、高額の報酬で医師を招聘したい」
という要望を受けました。

 世の中では、Windows98・Windows2000の大ヒット以降、家庭にもインターネットが普及。
それまでは、医師の求人媒体と言えば医学雑誌(医事新報)の小さな求人欄や
病院医局に無料配布されていたフリーペーパーを当直の際にこっそり読む
しかありませんでしたが、個人宅にインターネットが普及すると、
医師求人情報を配信する紹介会社が複数出始め、私が勤務していた会社でも、
求人をインターネットで紹介し、全国から医師の転職相談を受る流れができました。

2. 2004年(H16年)の新医師臨床研修制度開始。

 2004年に医師の臨床研修制度が大きく変わるまで、医師免許取得後、
2年以上の臨床研修は「必須ではなく努力規定」とされていました。
新卒の臨床未経験の医師に対する教育は大学病院が担っており、
卒後、ほとんどの医師は、各医学部の大学教授を頂点とする医師養成及び
診療システムである「大学医局」に入局し、退局するまで、自由な勤務先の
選択ができない状況に置かれていました。

特に卒後すぐの研修医時代には、研修という名のもとに無給や大変低い給与
での勤務を強いられたいる医師も大勢いたと言います。これが、社会問題化し、
医師の臨床研修に大きな法改正がなされました。

 2004年以降は、臨床医として保険診療をする医師になる為には、2年間の
臨床研修が「必須」となり、臨床研修の内容についても、「スーパーローテート」と呼ばれる、
2年間のうちに救急、内科、小児科など多くの科目を経験する研修内容が規定され、
大学病院だけでなく、一定の要件を満たした市中病院で臨床研修を実施することが可能となりました。

 この制度により、卒後、多くの医師が、大学病院だけでなく、〇〇市民病院、△△総合病院
といった市中の急性期総合病院で研修を受けるようになり、さらに、2年間の臨床研修後、
各専門科目に分かれて専門医を取得するための後期研修と呼ばれる研修についても、
大学医局に所属せず、各市中病院と雇用契約を結び、専門医を取得するという体制が
できたことで、臨床研修の2年間を終えた医師であれば、人材紹介サービスなどを
利用して勤務先を自由に選択することが可能になりました。

3. 2008年のリーマンショック後、大手人材サービスが本格参入

 新医師臨床研修制度によって、医師としてのキャリアを大学の医局人事に頼らずに
構築していく選択肢を持った若手医師が誕生しまし、医師の人材紹介サービスは
さらに活気づく事となりました。

 R社は資本力を活かして既存の医師紹介サービスを買収し準備を整えました。
2007年には、インターネットの医薬情報サービスで寡占状態であるM3社も
医師紹介の子会社を設立しています。

 そんな中に起こった、米国の金融機関の破綻がきっかけとなった
2008年のリーマンショックでは、日本でも証券会社・地銀の経営破綻が起こり、
金融業界を中心としたサービス業が大きな打撃を受けました。

 特に人材の採用活動はその後2-3年にわたって大きく冷え込み、2009年4月入社
予定の新卒の内定取り消しが社会問題となりました。R社はじめとした総合人材
サービスの大手は軒並み売上が前年比5割近く落ち込み、社員数の2割を超える
リストラを断行したことは当時大きなニュースになりました。

 その危機的状況下にあって、人材サービス会社から「新たな市場」として
注目されたのが、医療業界への人材紹介・派遣サービスでした。
医師を頂点とする医療専門職は慢性的な人手不足で求人倍率は職種にもよりますが
常に2を切ることがなく、医師は4-6倍と言われています。

 既存サービスが停滞する中、大手人材サービス会社が、本腰を入れて
医師・看護師の人材紹介サービスに参入。 大資本が加わったことで、
医師の転職サービスが大きく成長し、医師と病院に浸透しました。

4. 定着した医師人材紹介サービスの利用。

 その後、市中の病院にとっても、医師にとっても、
人材紹介サービスの利用が定着。
300床以上の総合病院や地域の基幹病院においても、
「大学医局から医師を派遣してもらう方法」と
「人材紹介を利用して独自で医師を採用する方法」
の両方を利用して、勤務医を集めることが、一般的となりました。
 後期研修や新専門医制度における専攻医についても、
人材紹介を利用することが一部では行われています。

 現在、常勤医師の人材紹介サービスを提供する会社は、全国にあまたあります。
主な所でも50社ほどがあるでしょうか。その50社の中でも、スピードと
情報量を誇る大手と、コンサルタントによるきめ細やかなヒアリングと
経験値を元に、登録医師をより評価してくれる病院を探す中小に、
大きく二極化しています。

 医師は超売り手市場とは言いますが、医師の専門性は特化・細分化しており、
「希望のエリア」「希望の仕事内容」「希望の報酬」「希望の時期での転職」
が適えられる求人は、実はなかなかありません。

※ ※ ※ ※

 そこで、次回は、医師の希望と病院の求人をマッチングする上で、
配慮すべきポイントが「診療科目」「急性期・慢性期」などによって
異なる点をご説明します。

 尚、当社では、これから転職をしたいという医師からのご相談及び、
これから医師の人材紹介を始めたいというお客様からの相談も受け付けております。

 非常に微力ではありますが、より質の高いエージェントがこの業界に増え、
医師の転職が、求人者・求職者の双方にとって「安全・安心」で「将来性を備えた」
ものになることを願っております。

株式会社 メディカルコンヴィニエンスプロダクツ(略称:mcプロダクツ)
キャリアコンサルタント 石井 美和